高木翼のWebサイト

高木 翼 Tsubasa TAKAGI 数理論理学を計算機科学に応用する研究をしています。
所属 JAIST(緒方研究室
連絡先
専門分野 数理論理学
学位 修士(情報科学)

最新情報

2021/10/01
所属がJAIST緒方研究室になりました。
2021/09/24
修士(情報科学)の学位を取得しました。
2021/06/15
論文が新進研究者Research Notesに掲載されました。
2021/06/08
18th International Conference on Quantum Physics and Logicで発表しました。
2021/01/09
論文がInternational Journal of Theoretical Physicsに掲載されました。
2020/04/01
所属がJAIST東条研究室になりました。

経歴

TA(ティーチング・アシスタント) RA(リサーチ・アシスタント)

研究内容

キーワード:様相論理(時相論理・動的論理)、量子論理、量子計算、形式手法、モデル検査、状態遷移系、オートマトン、グラフ理論

量子論理の量子計算的意味論の構築

従来の量子論理は代数的意味論のもとで量子力学の論理として誕生したため、量子計算による意味付けが与えられていませんでした。そこで、本研究では量子論理のKripke意味論を射影測定と量子ゲートに基づいて定式化することで、量子論理を量子計算によって意味付けました。今後も量子論理と量子計算の関係を更に解明していこうと考えています。

背景

量子論理とは、Birkhoffとvon Neumannによって1936年に提案された量子力学の論理です[1]。量子論理の一つの重要な目的は、実験によって真偽を決定できる基本的な命題(観測命題)から量子力学全体を再構築することにありました。1936年以来の伝統では、量子論理とはHilbert空間の閉部分空間全体がなす束(もしくは閉部分空間への射影作用素がなす束)だとされてきました。

しかし、量子論理の代数的意味論では状態遷移を明示的に扱うことができません。そこで、Goldblattは量子論理のKripke意味論を提案することにより、量子論理を様相論理に埋め込みました[2]。この埋め込みは、直観主義論理の様相論理体系S4への埋め込み(Gödel–McKinsey–Tarski翻訳)の類似物であり、直観主義論理と量子論理の類似点・相違点が明確になりました。Goldblattの研究は様相論理という観点から量子論理研究の新たな地平を切り拓いたといえるでしょう。

研究成果

Goldblatt翻訳によって量子論理を埋め込む先の様相論理のKripke意味論によれば、到達可能関係が純粋状態間の非直交関係として定義されています[2]。量子力学では、射影測定による状態の遷移確率は遷移前後の状態の内積に依存して決まるため、この到達可能関係は測定による状態の遷移可能性と同義です。しかし、通常の射影測定では、測定したいオブザーバブル(物理量)に基づいて可能な遷移先がさらに限定されるため、単なる非直交関係では、射影測定の全ての特徴をKripke意味論として定式化しきれていません。

そこで、私は、射影測定をより正確に取り込んだKripke意味論としてオブザーバブル依存意味論を提案しました[3]。この意味論に基づく様相論理の証明体系では、射影測定の冪等性に対応する□(◇A→A)を公理図式とします。オブザーバブル依存意味論で意味(真理値)を与えれば、従来のKripke意味論とは異なり、様相演算子□と◇がそれぞれ「確率1」と「確率0より大」に正確に対応します。従って、「確率1」を真、「確率0」を偽、それ以外の確率を第三の真理値に対応させることで、三値量子論理をオブザーバブル依存論理に埋め込むことができます[4]

参考文献
  1. G. Birkhoff and J. von Neumann. The logic of quantum mechanics. Annals of Mathematics, 37(4):823–843, 1936.
  2. R. I. Goldblatt. Semantic analysis of orthologic. Journal of Philosophical Logic, 3:19–35, 1974.
  3. 高木翼. 量子論理のオブザーバブル依存Kripke 意味論. 新進研究者Research Notes, 4:1–8, 2021.
  4. T. Takagi. Translation from three-Valued quantum Logic to modal Logic. International Journal of Theoretical Physics, 60(1): 366–377, 2021.

量子時相論理による量子計算の形式化と検証

進行中

主な業績

査読付き研究論文

  1. Tsubasa Takagi. Translation from Three-Valued Quantum Logic to Modal Logic. (International Journal of Theoretical Physics, 60(1): 366–377, Springer, 2021.) [PDF]

査読付き国際会議

  1. Tsubasa Takagi and Satoshi Tojo. Temporal Observable-Dependent Logic for Quantum Finite Automata. (18th International Conference on Quantum Physics and Logic, Poland, June 8, 2021.)

研究発表(査読なし)

  1. 高木翼, A Multi-modal Logic for Quantum Finite Automata, (第37回 記号論理と情報科学研究集会 (SLACS2020))、2020年
  2. 高木翼、「量子論理の視点に基づく反事実的条件法の再考」(科学基礎論学会 総会、2020年)
  3. 保科宏樹、飯澤正登実、齋藤曉、高木翼、「生成消滅演算子にもとづく量子論理」(日本物理学会 第75回年次大会、2020年)
  4. 高木翼、「近傍意味論の線形代数的再定式化」(第54回 MLG数理論理学研究集会、2019年)

奨学金

  1. SDプログラム奨学金(JAIST、2020年4月~現在)
  2. 成績最優秀者奨学金(法政大学、2019年4月~2020年3月)